膿疱性乾癬について
1. 膿疱性乾癬とは
「乾癬(かんせん)」という皮膚病の中で、発熱や皮膚の発赤などとともに「膿疱(のうほう~皮膚に膿がたまったもの)」がたくさん出現する病型を「膿疱性乾癬」と呼び、尋常性(じんじょうせい)乾癬(最も多いタイプの乾癬)と区別しています。膿疱は血液中の白血球が集まったものですが、細菌感染ではありません(無菌性膿疱と呼ばれます)。ですから、他の人に伝染する心配はありません。膿疱性乾癬の皮疹は体の一部(手足など)に限局する場合や、全身に出現することもあります。全身に出現する場合には「汎発性膿疱性乾癬」と呼ばれ、症状が重くなりますので、いわゆる特定疾患に認定されています。以下に、汎発性膿疱性乾癬について解説します。
2. この病気ではどのような症状がおきますか
最初に灼熱感とともに全身に紅斑(こうはん~皮膚の赤み)ができます。多くの患者さんは、この時に寒気がして高い熱が出ます。また、全身がむくんだり、関節が痛んだりすることもあります。それに引き続いて、紅斑の上にたくさんの膿疱が出てきます。一部の患者さんでは、目の炎症(結膜炎、虹彩炎、ブドウ膜炎など)が一緒に出ることもあります。皮膚に膿疱が多発すると、皮膚の大切な機能であるバリア機能が下がり、体内の水分バランスは崩れやすくなります。また、高い熱が出ることが多く、体力を消耗してしまいます。こういった状態が長く続くと、心臓や腎臓に負担がかかり、特に高齢の患者さんでは命にかかわることもあります。適切な治療によって、皮膚の赤みは徐々に消え、膿疱は破れて皮がむけて治ってきます。その後は、全く正常の皮膚に戻る場合、通常の乾癬(尋常性乾癬)の発疹に変化していく場合、あるいは手足に膿疱が出たり消えたりしながら残る場合などいろいろです。
3. この病気にはどのような治療法がありますか
同じ膿疱性乾癬でも患者さんの年齢や他の病気の有無、重症度、使用する薬剤の副作用などを総合的に判断して治療法を選択する必要があります。現在は、汎発性膿疱性乾癬治療ガイドラインが作成されているので、それぞれの患者さんに適した治療を選択することが可能です。ほとんどの患者さんで入院治療が必要です。安静を保ち、高熱に対して解熱剤を使用し、点滴で水分バランスを補正し、皮膚のバリア機能を補うために軟膏を外用します。治療薬には、ビタミンAの誘導体であるエトレチナート(商品名チガソン)という内服薬が最も使用されています。約8割の患者さんはエトレチナートの内服で症状がおさまります。また、免疫抑制剤であるメトトレキサートやシクロスポリンが使われることもあり、紫外線治療(PUVA)が行われる場合もあります。これらの治療が無効なときや、患者さんの全身状態がおもわしくない場合は、副腎皮質ホルモン剤が使用されることもあります。さらに、これらの治療法を組み合わせることもあります。
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