【社労士が解説!】精神障害で障害年金を受給するためのポイント
精神障害でもどんな病名だと障害年金の申請ができるのか?
精神障害になったと言っても、どんな病名でも申請が出来るというものでは ありません。メンタルクリニックにかかっていても、医師によっては本人に病名を積極的に伝えない場合があり、自分がどんな病名なのかわからないという方が時折います。
精神的な負担をあたえないようにするために配慮してくれているとも言えますが、障害年金の申請の際には病名がはっきりしていないと申請できるのか、出来ないのか判断がつきませんので、病名はあらかじめ聞いておいてもらうことが重要です。
精神障害の病気には、精神病と神経症があります。
精神病…うつ病、躁うつ病(双極性障害)、統合失調症
知的障害(精神遅滞)、発達障害、自閉症スペクトラム、
多動性障害(ADHD)、てんかん
神経症…社会不安障害、摂食障害、不安神経症、パニック障害、強迫性障害
パーソナリティ―障害、適応障害、身体表現性障害
精神障害、この病名であれば申請は可能です!
精神障害の場合、下記の病名であれば基本的に申請は可能です。
①うつ病
昨今の複雑な社会の中、人間関係や仕事の悩み、家庭の悩みなどを抱えることは当たり前かもしれません。少し気分が落ち込み憂鬱な気分をかかえることもありますね。
普通であれば、短期に気持ちも持ち直してくるものですが、それが長期に及び、気分の落ち込み、不安感、焦燥感、不眠、吐き気といった症状が現われます。体を動かすことにも抵抗感が強くになり、何もしたくなくなってしまう、好きなことも出来ないとという状態が長期にわたって続きます。
②躁うつ病(双極性障害)
うつ病とは逆に気持ちが異常に高ぶってしまい、何でも出来るといった気分の高まっている状態とうつの気分の落ち込んだ状態が繰り返し起こる病気です。躁の状態の期間と鬱の状態の期間は人によって長さ、期間がことなります。
躁状態の時には一睡もしないで起きているといったケースの方もいます。普段と比べていつもの状態より明らかに飛ばしすぎのような症状のある方は、この病気の可能性があります。
③統合失調症
周囲には聞こえていない声が聞こえる(幻聴)や見えないものが見える(幻覚)、人にいつも見られている・監視されている(妄想)といった症状が顕著に現われ、思考力が低下し、いつも独り言を言ったり、人との接触を忌避する傾向のある病気です。
④知的障害(精神遅滞)
遺伝子や染色体などの異常があって起きる内的原因によるものと、母体の感染症や薬物の影響、外傷などによって起きる外的原因によるものがあります。
軽度
・支援があれば、読字や金銭などの概念を理解することがで き、また買い物や家事なども1人でできるようになる。
・コミュニケーションはパターン化されていることが多く、 ほかの人と比べると未熟である。
・記憶や計画、感情のコントロールなどが苦手である。
中等度
・読字や金銭などの概念は小学生レベルにとどまり、常に支 援が必要である。また買い物や家事など1人でできるようになるまでは長い時間をかけて支援が必要である。
・単純なコミュニケーションであればできる。
・判断や意思決定をすることが難しく、支援が必要である。
重度
・読字や金銭などの概念について、ほとんど理解することが 難しく、常に支援が必要である。また食事や身支度、入浴などを含むすべての日常生活上の行動では、継続的な支援が必要である。
・身振りや、単語・句を区切った単純なコミュニケーションであればできる。
最重度
・認識できるものは目の前にある物理的なものに限り、常に 支援が必要である。また食事や身支度、入浴などを含むすべての日常生活上の行動では、他者の支援がないと難しい状況である。
・身振りや、単語・句を区切ったコミュニケーションでも理解が難しいこともある。
アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)の一部を抜粋
⑤発達障害
「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群、その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能の障害であって、その症状が通常低年齢において発現するものとして、政令で定めるものをいいます。知的な遅れや明らかな障害がない、見た目にはわかりにくい、という特徴があります。
中には成人した後に、仕事のミスが多い等の指摘を受けて発達障害のわかる方も最近は多くいらっしゃいます。俗に「大人の発達障害」と言われるものです。
以上のような精神病の部類に入る病名での診断書を医師から作成してもらえる場合には、障害年金の申請が出来る可能性があります。あとは、仕事や日常生活を送る上で、どれくらい不自由感が強く、ご家族や周囲の方のサポートが必要になるのかが等級判断の重要な要素になります。
お一人で生活すると想定した場合にどの程度までなら自分でできるか、誰かの助けが必要かという点がポイントです。
精神の障害で申請が難しい病気はどんな病気か? しかし、可能性はゼロではない!
一般に神経症といわれている病気の場合には、障害年金の申請が難しい状況です。神経症は治る病気と言われているためです。
神経症には次のような病気があります。
①パニック障害
普通に生活できていた人が、突然ドキドキして、息も苦しくなってしまう症状です。また同じことが起こるかもしれないという不安感に襲われ、電車やバスに乗れなくなってしまうといったことが良くあります。病院に行っても身体には異常がないケースが多いです。
②社会不安障害
人前に出ると以上に緊張してしまうといったように、過度の緊張により、動悸、冷や汗、体の震え等が現われることがあります。
③摂食障害
比較的女性に多い病気です。「拒食症」「過食症」を総称して摂食障害と言います。痩せるために無理をしてしまうと、脱水や
低栄養によって判断能力が落ちてしまい、入院しなくてはならないほどに体力が落ちてしまいます。
④適応障害
職場、学校、家庭等の複雑な人間関係により、自分の周りの環境にうまく対応していくことが出来ず、ストレスを抱え込む病気です。
⑤PTSD(心的外傷後ストレス障害)
交通事故を含む各種の事故や暴行、虐待等の強い恐怖感を感じた人が、その後しばらくフラシュバック等によりトラウマを抱える状態になるケースです。繰り返し悪夢を見たり、動悸や過呼吸が繰り返し起こってしまいます。
⑥自律神経失調症
人が日中行動する際に使っている交感神経と休憩や就寝などのリラックスした状態になる副交感神経は自動的に切り替わるものでありますが、何らかの要因によりその切り替えがうまく行かなくなる状態のことを言います。動悸や不眠、めまい、頭痛など色んな症状が現われることがあります。
⑦身体表現性障害
頭痛、吐き気、体の痛み等の体の不調が現われ、病院で検査を行っても異常の所見が見当たらないような病気になります。主には精神的な強いストレスによることが多いです。
⑧強迫性障害
色んなことが気になってしまい何度も確認をしたりすることをいいます。外出の際にガスの元栓を占めたかとか戸締り、カギをかけたかというようなことが気になってしまい、そのことばかりが頭に浮かんでしまう、または何度も手を洗うといった行為も特徴的です。
ただし、これらの病名と「うつ病」「統合失調症」「双極性障害」といった精神病が併存している場合には、申請が出来ることがあります。
医師に作成していただく、診断書の病名の欄にこれらの病名が一緒に記載してもらえる場合には、申請が可能な場合がありますので、よく主治医に確認していただくことをおすすめします。
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